ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


「……ちゃんと先生の話聞いてたら分かるはずだけど」


ゆいは小声でそう言って、俺を軽く睨んだ後また正面を向いてしまった。


ちぇー……ドライすぎー。

相手にしてもらえないことが分かった俺は、早々に諦めて机に伏せた。


「えー、というわけで先生たちによりAB組合同の班が決まったので、今からその紙を配りまーす」


前の席の人からプリントを渡されて、俺は何の感情もないまま一枚取って、後ろに回した。


何の毛無しにプリントに視線を落とすと、そこには


一班

雨宮ゆい・白瀬杏月・二宮凛大・滝口夜・篠原しのぶ・倉野美紗・犬飼瑛人・八代勇司


と記載されていた。


お、勇司じゃん。ラッキー。

そこには見知った名前がずらりと並んでいた。


犬飼って奴とはこれまで絡んだことはないけど、名前と顔だけは知っていた。

どうやら学校イチのモテ男子と言われているらしい。


……あんな無愛想な奴のどこがいいんだか。

同性の俺にはさっぱり分からない。


「ゆーい、林間学校、楽しみだねっ」


そう声をかけるけれど、ゆいは無反応だ。

何やらプリントをまじまじと見ている模様。


「ゆいー? ねえ、ゆいってば」


何度声をかけてみようが、ゆいはやっぱり無反応。

……もう、どれだけ集中して見てるんだよ。


< 101 / 150 >

この作品をシェア

pagetop