ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「……ちゃんと先生の話聞いてたら分かるはずだけど」
ゆいは小声でそう言って、俺を軽く睨んだ後また正面を向いてしまった。
ちぇー……ドライすぎー。
相手にしてもらえないことが分かった俺は、早々に諦めて机に伏せた。
「えー、というわけで先生たちによりAB組合同の班が決まったので、今からその紙を配りまーす」
前の席の人からプリントを渡されて、俺は何の感情もないまま一枚取って、後ろに回した。
何の毛無しにプリントに視線を落とすと、そこには
一班
雨宮ゆい・白瀬杏月・二宮凛大・滝口夜・篠原しのぶ・倉野美紗・犬飼瑛人・八代勇司
と記載されていた。
お、勇司じゃん。ラッキー。
そこには見知った名前がずらりと並んでいた。
犬飼って奴とはこれまで絡んだことはないけど、名前と顔だけは知っていた。
どうやら学校イチのモテ男子と言われているらしい。
……あんな無愛想な奴のどこがいいんだか。
同性の俺にはさっぱり分からない。
「ゆーい、林間学校、楽しみだねっ」
そう声をかけるけれど、ゆいは無反応だ。
何やらプリントをまじまじと見ている模様。
「ゆいー? ねえ、ゆいってば」
何度声をかけてみようが、ゆいはやっぱり無反応。
……もう、どれだけ集中して見てるんだよ。