ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「……です。それでは! 怪我をせず、ルールをしっかり守って最高な思い出を作りましょう」
主任は締めの言葉を言い、一礼して退場した。
次に各クラスの担任がクラスの列の前に並び、注意事項を述べた後、順番に祝初施設に移動を始めた。
F組から移動し、A組は最後に宿泊施設に移動した。
女子は女子、男子は男子で部屋に入り、荷物を置く。
「思ってたより綺麗だね~、それに私、木造の家結構好きかも!」
杏月が部屋を見渡しながら感想を述べる。私も右に同じだ。
「あの、雨宮さん。と、白瀬さん。これからよろしくね」
私と杏月に微笑んで手を差し出してきたのは、倉野さん。
そう言えば私、この二人と話したことなかったな。そう思って、私はその手を握って握手を交わした。
「うん、よろしくね」
「よろしくー! うちらなんだかんだ話すの初めてだよね。美紗ちゃんに、しのぶちゃん。二人とも名前可愛すぎる~」
さすが杏月だ。もう二人と打ち解け合う雰囲気を作っている。
「そ、そうかな……? ありがとう」
倉野さんは恥ずかしそうに頬を染めて俯いた。
対する篠原さんは、……
「……ごめんだけど、名前で呼ばないでほしい」
低い声でそう言って、部屋の奥に行ってしまった。
「……あちゃ~、私最初から距離詰めすぎたかな。反省反省」