ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


杏月は苦笑いを浮かべてそう言った。


「あ、あのっ。違うんです……篠原さんは、名前呼びが嫌いな方で、別に白瀬さんが悪いというわけじゃないんですよ」


あたふたとしながら篠原さんについて補足を加えてくれる倉野さん。


「そう、なんだ……」


私はぽつりとそう零した。杏月も隣で「そっかー。教えてくれてありがとね美紗ちゃん」と微笑んだ。


少し気まずい雰囲気の中、先生から全体呼び出しがかかったので私たち一班は急いで招集所に向かった。


そこでは今夜の夕飯の説明を受けた。

班で力を合わせてカレーを作るということだった。


まあ、カレーは簡単だし大丈夫だよね……小五の時の宿学習でも作ったし。

私は男子陣に視線を向け、再度うんと頷いた。


犬飼くんは驚くほどの料理上手だし、滝口くんと八代くんは……分からないけどまあ大丈夫だろう。

そして問題は、


「俺ゆいと一緒に作りたーい」


ほわほわとした雰囲気をまといながら私に笑いかける凛大だ。


「凛大、今は先生の話よく聞いて」


私は唇の上に人差し指を乗せてそう言う。凛大は素直に私の言うことを聞いて、前に向き直った。


先生の話が終わると、受けた説明通り各自前の方に食材を取りに行く。

一班のリーダーは私だから、私は前の方に言って大きなかごに入った食材を受け取りに行った。


「よーし、作るぞ〜!」

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