ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
その瞬間、ドクンッと強く鼓動を打つ心臓。
触れた部分から熱が広がって、私が私じゃないみたいで怖くなる。
「……今日、ゆいと一緒に寝たい」
静かな空間に、少し熱を孕んだ犬飼くんの声が響いた。
私は言葉に詰まって、返事に遅れる。
「何、言ってるの。そんなの無理」
恥ずかしさから犬飼くんを軽く睨み、そっぽを向く。
犬飼くんが何を企んでそんなことを言ってくるのかは分からないけれど、異性慣れしていない私にとってはハードルが高すぎる。
「だって前も一緒に寝たでしょ? 俺、今まで不眠症だったのに、ゆいが隣にいてくれた時だけありえないくらいよく眠れたんだ」
そんなことを言うなんて、ずるい。
私がお人好しな性格なのを知って、その上でそんな風に言うなんて。
「……ずるいよ、犬飼くん」
「はは、ごめんて」
犬飼くんは軽く笑って謝った。
「それで、ゆいと一緒に寝てもいい……?」
今度は自信なさげに、上目遣いで訊いてくる。
そんな所作も私を頷かせるための演技だと分かっているのに、まるで何かに引き寄せられるように私はこくりと頷いてしまった。
「がち? 超嬉しい」
太陽みたいに笑う君を、私は恨めしく見つめた。