ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


「紅葉、綺麗だもん。そりゃそうなるよ」


私は自然と口角を上げ、そう言った。

そんな私を、犬飼くんが驚いた目で見つめている。


「何、どうしたの?」

「いや、ただちょっと……可愛いなって思って」


冗談を言っている口調でもなくて、私は少し戸惑う。


「……、へえ」


なんて返せばいいか分からなくて、私はそれだけ呟いた。

顔が赤くなるのを自覚して、私は犬飼くんから顔を背けた。


思わず目を奪われるほどのの紅葉(もみじ)の並木道をゆっくりと眺めながら二人で歩く。


私がスマホのカメラアプリを起動して紅葉を画角に収める。

光の加減を調整し、撮影ボタンを押すと。


「いえーい!」


思いっきり変顔をしてピースをする犬飼くんが映り込んできた。

その写真を見て、私はクスッと小さく吹き出した後、何だか面白くなって声を上げて笑った。


「あははっ、もう。何してるの」


そう言って犬飼くんの方を見ると、さっきより驚いたように目を見開き、私をガン見している。


「ど、どうしたの……」

「ゆいがそんな風に笑うとこ、初めて見た」


そう言われて、私ははっとしてしまう。


嘘、私、今声上げて笑った……?


「いつも笑顔は浮かべてたけど、本当に楽しそうには笑わなかったから。愛想笑いっつーか、そういう感じ」

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