ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
歩み寄る二人
翌朝。私は早くに目が覚めて、犬飼くんを起こさないよう身支度を済ませてから朝食作りにとりかかった。
今日はスクランブルエッグをトーストに挟むという簡単なもの。
私が朝食を作り終える頃に犬飼くんが目を覚まし、こちらに近づいてきた。
「……俺、運ぶよ。朝ご飯作ってくれてありがとう」
元気のない声で犬飼くんがぼそっと呟き、トーストの乗った皿を食卓に運ぶ。
お茶の入ったグラスをよ持ち、犬飼くんの後に続く。
向かい合わせで席に着いて、いただきますと手を合わせた。
犬飼くんはさっきから私と目を合わせてくれない。
……まあ、仕方ないか。昨日の今日だし。
沈黙が続く中、朝食を食べ終えた私たち。
昨日の夜、ずっと考えていたことの整理がついた私は、犬飼くんをまっすぐに見つめて口を開いた。
「犬飼くん。私ね、これからも犬飼くんにそばにいてほしい」
これが、私の本当の気持ち。
犬飼くんは目を見開いて固まっている。
「私、昨日の夜ずっと考えてたんだ。これまでずっと、過去に囚われ続けながら生きてきたけど、そんな人生お兄ちゃんは望んでないだろうなって。いつまでも弱い私ではいたくないって思ったの」
心の中で渦巻いていたすべてのことを犬飼くんに伝える。
犬飼くんは真剣な表情で私の話に耳を傾けてくれた。