ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
そこには、夕日に照らされた犬飼くんがいた。
空は美しいグラデーションを纏い、真っ赤に燃える太陽が世界全体を照らしていた。
「……ねえ、ゆい。本当にこれでよかったのかな」
隣から聞こえた不安そうな声に、私はまた犬飼くんに視線を向ける。
犬飼くんの質問の意図がすぐに読み取れて、私は少し考えた後に返事をした。
「いいんだよ、これで。私たちが幸せになることをお兄ちゃんも望んでいる気がする。いや、きっと望んでると思うから」
私は立ち止まり、犬飼くんの目をまっすぐに見つめた。
もう過去に囚われてばかりじゃいられない。
私たちは幸せになってもいいはずだ。
そう思えたのは、間違いなく犬飼くんのおかげ。
犬飼くんと共に過ごした日々が、私に幸せとは何かを教えてくれた。
たとえ始まりが歪んだものであろうと、私はこれからを大切にしていきたいと思う。
「……そっか。うん、俺、幸せになるよ」
目を潤ませた犬飼くんが曇りない瞳で私を射抜いた。
「雨宮ゆいさんに伝えたいことがあります」
犬飼くんの言葉に身構える私。
次に発された言葉を聞いて、私は破顔した。
〝好きです。俺と、付き合ってください〟