ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


「もしまた犬飼くんを傷つけるような真似したら、私が許さないから。それじゃあ、さようなら」


私は最後にキッと冬樹さんを含む白龍のメンバーを睨みつけ、犬飼くんの手を引いて家に向かって歩き始める。


「……ゆい、ありがと」


ずんずんと歩いていると、犬飼くんが隣で弱々しく呟いた。


「ううん、あれくらいのことどうってことないよ」


それは真っ赤な嘘。

本当は足がすくみそうになるほど怖かった。


だけど、犬飼くんを守りたいという気持ちが私の背中を後押ししてくれたんだ。


「私、犬飼くんのことが好きだから。犬飼くんとの明日を守るために、あの人たちに立ち向かっただけ」

「はは、ゆいはかっこいいなあ……。それに、強い」


犬飼くんの瞳から涙がこぼれ落ちる。

私はそれを見て、涙を拭おうと思わず手を伸ばす。


けれど、その手を優しく掴まれてぎゅっと抱きしめられた。


「ふふ、どうしたの?」

「ゆいのことが好きだなーって思って」


長い腕で私を包みこんで、そんなことを言う犬飼くん。

私はその言葉が嬉しくて、その背中に腕を回して抱きしめ返す。


「私も好き」


私がそう言うと、私を抱きしめる犬飼くんの腕が緩んで、至近距離で見つめ合う。


それからお互いの顔が近づいて、唇と唇が合わさった。


夕暮れ時の通学路で、私たちはほろ苦いキスをした。

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