ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
『ゆいの髪、サラサラだなあ。うらやましいぜ全く』
太陽のような笑顔でそう言った、ある人の顔が脳裏に浮かぶ。
その瞬間、私は目を大きく開いた。心臓がドクドクと動悸を起こしている。途端に息を吸うのが難しくなって、私は過呼吸を繰り返した。
両肩を激しく上下させる私に気づいたのか、後ろで犬飼くんの慌てた声が聞こえてくる。だけどそれはだんだんと遠くなって、最後にはぷつりと意識が途切れた。
❥❥❥
深い眠りについていた。だけど、夢を見ていたような気もする。
赤いワンピースを着た小さい女の子と、その子よりずっと背丈が大きい男の子が手を繋いで笑い合っている姿。
お互いをとても大切に想っている様子がひと目で伝わってくる。
「……っ、」
頭が痛い。とても痛い。
「……さん! あま………雨宮さん!」
遠くの方で誰かが私を呼ぶ声がする。だけどそれに応える気力は残されていない。