ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「雨宮さんの、弱さ……? それって……、いや、何でもない」
私のことを気遣ってか犬飼くんはそれ以上質問しなかった。
「じゃ、じゃあ私準備するから。犬飼くんはもう行っていいよ」
「で、でも雨宮さんを一人で学校に行かせるのは心配なんだけど。俺、待ってていい?」
上目遣いでそんなことをぶっこんでくる、小悪魔犬飼くん。
私を思ってそう言ってくれているのだと分かるけど、でも……。これ以上距離を縮めるのはマズい。
だけど相手は犬飼くんだ。この私に、家に泊めさせることを許可させた凄腕だもの。
拒否ったって犬飼くんは絶対に聞いてくれないと分かるから、私は半ば諦めて頷いた。
「分かった。すぐ準備するから玄関の方で待ってて」
そう言うと、犬飼くんは嬉しそうに頷いた。
この時の私はまだ知らなかった。
この男が私にとってどれほど危険な存在なのかということを。
犬飼くんと登校したことを後悔するのは、もう決まっている未来のおはなし───。