ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
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光の速さで準備し終えていつも通りの時間にマンションを出られてほっとしたのも束の間。
私の耳をピクッと動かす会話が聞こえてきた。
「ね、ねえあれ見て! 犬飼くんの横にいる女の子、雨宮様じゃない!?」
「わ、ほんとだ! 素敵〜朝から眼福だわぁ」
「はぁ〜うっとりしちゃう……。雨宮様、今日もお綺麗でいらして」
周囲から私と犬飼くんの名字が聞こえてくる気がするんだけど……もちろん幻聴だよね?
「ね、ねえ犬飼くん? なんだかいつもの比にならないくらい見られてる気がするんだけど、」
隣を歩く犬飼くんの制服の袖をくいっと引っ張る。
「えーそう? 普通じゃね」
「ちょ、適当すぎ! なんでこんなに注目浴びてるの……」
意味不明の状況に途端にげっそりした私。
「まあ、この俺が? かの有名な雨宮さんと仲良く肩を並べて登校してるからだろうね」