ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


……違和感。

…違和感。


違和感。


さっきまで不機嫌そうに黙り込んでいた杏月さえ、不思議そうに私を見てくる、私の驚きよう。さっき一瞬だけチラリと見た犬飼くんのあの表情。


それに感じた違和感に気づかないふりをしたかったけれど、無理だった。

一瞬で色を失った自分の表情を必死にもとに戻して、「何でもないよ」と杏月に伝えて食券機の方へ向かった。



「ゆい、何食べるー?」

「うーん、杏月が一番好きな定食で」

「えぇー、それ毎回じゃーん…!私はゆいの好きなもの一緒に食べたいのにぃ」

「ははっ、じゃあチキン南蛮が良いな」



また、彼女の明るさと可愛さに癒やされる。中学の頃は根暗だった私がここまで変われた理由。


他人も、この自分自身をも信じることの出来なくなった“あの日”から、私はずっと塞ぎ込み続けていた。みんながキラキラと輝く高校デビューの入学式。

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