ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
私は見なかったフリをして扉を閉め、心を落ち着かせながら教室に戻った。
───
「……っ、くそ」
握った拳で強く膝を殴り、床に膝を打ち付ける。
形の良い唇はふるふると震えていて、顔色は物凄く悪い。
その場にうずくまったまま、動こうとしない。
「……っう、うぅ」
理科準備室に悲痛な唸り声が響く。
ただ一人、真っ暗闇に取り残されて声を抑えて泣いている。
それがどんなに胸をえぐることか、みんなは知らない。
普段は周りからちやほやされている学校一のモテ男子が、裏ではこんなにも苦しんでいるということを。
それは家族にも言えない、苦しいくるしい秘密。