ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
遠ざかる幸せ
「はい、ゆい。六限目お疲れ様〜♪」
「……ありがと、杏月」
コトンと私の机に置かれた苺ミルクを見て、杏月にお礼を言う。
今は六限目の終わり。
後は七限の数学を受けて、帰るだけ。
「やっぱ英語ってむりぃー! ただでさえ疲れてるのに知らない言語の授業受けてもっとダルくなった!」
杏月はむぅ、と唇を尖らせて、おそらく英語の教科担当である吉光先生に対しての不満をグチっている。
「あはは、英語は小学校の頃から知ってるはずだけど?」
「ううん、知らないっ。あんな記号の羅列、読んでるだけで頭痛くなる! ゆいは英語の成績学年一位だからそんなこと言えるんだよぉー……うぅ」
わざとらしく泣く杏月の背中に手を添えた。
「ほら、泣かない泣かない。毎回英語のテストで八十点以上が当たり前の杏月がそんなこと言ってたら、本当に英語が苦手な子たちに恨まれちゃうよ」
「もー、イジワル言わないでぇ〜っ。ほんとに好きじゃないの、英語だけは絶対!」