ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
杏月がそう宣言したその瞬間、突然廊下の方から女子たちの黄色い歓声が聞こえてきた。
「キャーーー!! なんで!? 凛大くんもう帰ってきたの!?」
「わぁぁ! 久しぶりに見る凛大様かっこよすぎ……はぁ♡」
「凛大くんお疲れ様♡ 今日来てくれるなんて思わなかったぁ!」
………。
そんなただならぬ会話を耳に入れた私と杏月は〝あ、察し……〟という表情をする。
私たちには関係ないや、と思って会話に戻ろうと口を開いた瞬間、後ろの方から物凄いスピードで走ってくる上履きの音がした。
悪い予感がして、振り返ろうとしたその瞬間、私の背中にむぎゅうっと人一人分の重みがかかる。
「ゔぇ……っ」
私に抱きついて全体重の重みをかけてきた迷惑者。
後ろから私の肩にぎゅっと腕を巻き付けて、物凄い力で抱きついてくるその人物は、───
「ちょっと凛大……っ、離れなさい!」