ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「ゆい久しぶり〜〜っ! もう一生離してやんない」
「……はぁ、帰ってきたと思ったらこれって、一体どういうことよ」
私はこめかみを押さえ、盛大にため息を吐いた。
きっとこれが漫画だったら、私の頭の上には今縦棒が大量に引かれていると思う。
「あははっ、凛大くんの子犬っぷりは今も健在だねー」
私が困っている間も、杏月はそんな凛大を見て楽しそうに笑っている。
こんの杏月っ、笑ってないで早くこいつを私から引き剥がしてよぉーーー!
何度も「離して」と言っているのに全く聞き耳を持たない大型犬。
私は杏月に怨念を放つのをやめて、凛大の腕をベリッと引き剥がして離れさせる。
「もぉー酷いなぁゆいは。でもそんな冷たいところも好きぃ」
「あーはいはい」
再び私の背中に抱きついてお決まりの言葉を放ち、甘えるように頬を擦り寄せてきた凛大をもう一度容赦なく突き放す。