ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
今にも泣き出してしまいそうな潤んだ瞳で私を見つめてきた、傷だらけの子犬くん。
その不安そうな表情からくぅん、という子犬のような鳴き声が聞こえてくるようだった。
今はもう、なぜ見知らぬ彼が私の名字を知っているのかは後にして、このかっこいいの凶器でしかない子犬くんにどう耐えようか試行錯誤する。
彼の発言に対する驚きより不信感が勝っているけれど。うちの高校の制服を着ているからとりあえず疑う必要はないと思えた。
……本当はここでもっと疑うべきなんだろうけど。彼の怪我は見るからに痛そうだし、このまま置いて帰ることは私の良心が許さない。
「……傷の手当てだけですから。それ終わったら、すぐに自分の家に帰ってもらいますからね!」
「………うん!」
今、すんごい謎の長い沈黙があったけど……、大丈夫だよね?
そう心配しながらも律儀に彼を支え、私が住むマンションまで連れて帰った。