ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


 うん。これはカタコトになってもしょうがないよ。


 そんな言い訳をしながら、私は目線を教室の外の廊下へと向けた。無理やり作った笑顔は、きっと下手すぎて唇の片端がめちゃくちゃ引きつっているのが分かる。


 だって、今までずっと、凛大がこのC組に入ってきて私に抱きついた瞬間から、廊下で凛大に話しかけていた大勢の女の子たちの視線が興味津々といった様子で凛大と私一点に集中していたんだから。


しかも、みんなまるで私たちの会話を聞き逃さまいと耳をすませるように、シーンとなって静かだったのだ。



「ちょ、あなたが答えて…っ。私、雨宮様と話すの緊張しちゃう……っ!」


「なんでよ、私も無理よっ!あのお顔にハート打ち砕かれて即死案件!」


「はわわぁ…、目の保養、絶世の美少女、私今幻覚でも見えてるの……?」



 コソコソとした声で何かを喋っている、女子生徒三人。さっきまで教室の窓から身を乗り出していた大勢の女子たちが途端に窓から手を離し、皆が姿勢を正した。


 わ、私、今無視されてる……?


 あ、やっぱり凛大と話していたから女の子たちが勘違いして、私を恨みの対象として見ているのだろうか……?


 うん、きっとそんなところだろう。



「わ、私、凛大とは幼なじみなだけであって、決してそういう関係ではないので!だ、だから安心して欲しいっていうかなんというか……」

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