ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
第二章
変化する日常
「それで、君はいつまで居座るつもりなのかな?」
私はにっこりと口角を上げて彼を見た。
「んー、少なくともあと半年は」
「……は?」
「うおっとゆいこちゃん、お口が悪いですよ〜」
おどける犬飼くんをキッと睨む。
誰が“ゆいこ”ちゃんじゃ。こを付けるな! こを!
「無理。明日にでも荷物をまとめて出てって」
私は腕を組み、仁王立ちした状態で犬飼くんに言う。
「そんな無茶な、……」
犬飼くんは顔を覆って嘆いた。
この世の終わりだみたいなトーンで言っているけど、少し演技のしすぎじゃないかと思ってしまうよね。
「ん゙っ、ん゙ん!! ゴホッ、ゴホッゴホッ」
そっちがその気なら、私だって負けてらんない。
盛大に咳込んで、目を閉じる。
そしたら犬飼くんはすぐに心配そうな顔をして、私にものすごい勢いで近寄ってきた。
「雨宮さんっ、大丈夫!?」
……っふ、チョロい。