ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


「はは、分かった。入ってくる」


犬飼くんはそう言ってソファから起き上がり、洗面所に姿を消した。


暇つぶしにテレビをつけると、今朝していたニュースがまた流れてきた。


白龍の頭がなんとかかんとかとニュースキャスターが報道するけれど、内容は一切頭に入ってこない。


気がつくと頭をコクンコクンとさせていて、睡魔と戦った結果見事に敗れて犬飼くんと同様ソファで眠りについた。


私はある夢を見た。


「……さん、雨───…寝ちゃったか」


モテ男子である犬飼くんにお姫様抱っこをされて、寝室のベッドまで運ばれる、そんな夢。


「かわいい、」


自分には絶対に向けられないであろうセリフを夢の中で犬飼くんが言う。


こんな夢を見てしまうのも、きっと。

久しぶりに舞い込んだ胸の高揚感に、浮かれてしまっているせいだ。

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