ワケありモテ男子をかくまうことになりました。

二人の距離感



朝。目を覚ますと、すぐ隣で犬飼くんが眠っていた。


私は目を見開いて、しばらく動けなかった。

そして、今自分がいる場所を確認するとそこはベッドで───。


私、昨日ソファで寝落ちしたはずじゃ……。

そこまで考えて、あることに気づく。


「……っ、あれって現実だったの?」


信じられない事実にさらに目を大きく見開き、ベッドから起き上がって隣でのんびりと寝ている犬飼くんを叩き起こす。


「ちょっと犬飼くん!! なんでここで寝てるの!?」


犬飼くんは眠たそうに目をこすり、「うるさい……」と眉をしかめるだけ。


こいつ、起きる気全然ない。


私は犬飼くんの両手首を掴んで、強引に起き上がらせる。

だけどすぐに犬飼くんの体は重力に従ってベッドに引き戻された。


「もう、起きてよ! 学校遅刻するよ……って、えっ!」


起きて早々疲れ気味の私は、次の瞬間には犬飼くんの腕の中。

急に引っ張られたかと思えば、私まで二度寝に道連れにしようとするなんて。

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