ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「やめて、やめてってば」
女子の私がいくら足掻いたところで、ビクともしない腕。鍛えているのか、程よい筋肉がついている。
「ん〜、静かにしててあめみやさん……」
「誰があめみやさんよっ。ほら、ふざけてないで早くこの腕どかして……っ」
十分間ほど奮闘するも、犬飼くんは私を離してくれず。
心が折れかけてげっそりとしていた私に、「あ、雨宮さんだ。おはよう、今日はずいぶんと積極的だね」なんてふざけたセリフを言ってきた。
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「私、先に出るから。犬飼くんは十分後くらいに家出て。これ鍵ね」
「はーい。毎回思うんだけど、別一緒に登校してもよくね?」
「ダメ。あなたと歩いてると注目浴びるし、やなの」
「ふーん。分かった」
犬飼くんは私から鍵を受け取り、適当に相槌を打った。
学校に着くと、珍しいことに教室にはまだ誰もいなかった。