ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
いつもは杏月が真っ先に飛びかかってくるから、扉を開ける前に警戒したのにな。
教材を机の中に入れ終わる頃にはクラスメイトが続々と登校してきた。教室内はすぐに騒がしくなる。
そんな中、一際明るい声が教室に響いた。
「ゆいおっはよー! 今日もいい天気だねえ」
「おはよ杏月。今日も元気でなにより」
「何よその返事ー。それよりそれよりっ! 犬飼くんとのコト、聞かせてよ」
コロコロと話題を変えるのは彼女の性質だろう。
声を落としてそう言った杏月に、私は今朝の出来事を思い出して唸る。
「……今話さなきゃいけない?」
「そりゃもちろん! だってその顔絶対、週末に何かあったやつだもん〜」
さすが杏月だ、鋭い。
「叫んだりしないでね。実は土曜日……犬飼くんとディズニーランドに行った」
杏月が口を開け、大きく叫ぼうとしたので素早くその口を手で塞ぐ。
「ま、まじ? あのインドアなゆいが……? 犬飼くんと? いや凄いな」