ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「いたっ」
子犬くんが眉をしかめて悲鳴を上げる。私はそれに構うことなくタオルケットを剥ぎ取り、腕や胸辺りにある傷も消毒した。
次に軟膏を塗り、傷口が深いところにはキズパワーパッドを貼り、切り傷には絆創膏を貼った。
「お、おネエさん。少々貼り過ぎじゃないっすかね」
全身絆創膏だらけになった子犬くんは、引きつった笑顔で言った。私はそれに真顔で返す。
「元はあなたがこんな怪我するから悪いんでしょ」
そう一喝すると、子犬くんはぐぬぬ、と押し黙った。私はそんな彼をじっと眺める。
「な、何?」
「いや、なんでも」
気になる。だけどわざわざ訊くのは違う。
自分で作った傷ではなさそうだし、かといってこの人が喧嘩をする姿なんて想像もつかない。
「……手当ても済んだんだし、そろそろ帰れば?」
「えっ、なんか急に冷たっ」