ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


言葉に詰まった様子の犬飼くんだったけれど、何かを決心したように私をまっすぐに見つめてきた。


「雨宮さんには、関係ない」


犬飼くんの口から発された言葉には、私を突き放すには十分すぎるほどの威力があった。

そんな言葉に思ったよりショックを受けている私がいて、戸惑ってしまう。


「……っ、そう、だよね」


お人好し、お節介、臆病者。

そんなワードが頭の上に重たいおもりとなって落ちてくる。


真っ白な頭をなんとか回転させて、私は犬飼くんを見た。

そして、


「もうお役御免、かな」


何でもない風に笑顔を浮かべ、そう言った。

その言葉を聞いた犬飼くんが瞬時に私を見る。

何か言いたげな瞳に見つめられて、私は内心混乱した。

< 88 / 150 >

この作品をシェア

pagetop