ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
私は彼を一瞥して、床に散らばったガーゼやら手当て後の絆創膏のゴミやらを集めようと手を伸ばした。
「待って、俺がやる」
子犬くんに阻止されて私は目をまん丸くした。急なことにびっくりして、手と手が触れている部分が熱くなる。
男の子慣れしていないせいで私の心臓はドッドッドッと早鐘を打ち始めた。
「ご、ごめん!」
その謝罪は、私の手に触れたことに対してだろうか。全身カチコチに硬直させたまま、私はなんとか頷いた。
……手が触れ合って動揺したこと、気づかれていないといいな。
子犬くんはゴミを集めてゴミ箱に捨て、また私の元へ戻ってきた。その姿は飼い主にボールを持って帰ってきた子犬同然で、私は小さな笑いをこぼした。
「な、なんだよ」
「いや、別に」
こんなこと思ってるって知られたら子犬くん怒っちゃいそうだし、言わない方がいいよね。
心の中でくすくすと笑う私を、子犬くんは訝しげな顔で見つめてくる。目が合った時、私は今まで忘れていたことを思い出した。