ワケありモテ男子をかくまうことになりました。

大型犬の葛藤



犬飼くんが私の家を出て行ってから早三日が経つ。


路地裏で別れた犬飼くんが自分の荷物を取りにまた私の家に来た時は本当に気まずかった。


けれど、同居生活が終わりを告げると、私たちは信じられないくらい、学校でも通学路でも出くわすことはなかった。


「ねーねーゆいー。さっきからぼーっとしてるけど、俺の話ちゃんと聞いてるー?」


私の目の前で頬杖をつく凛大が不服そうに頬を膨らます。


「……あ、うん。聞いてるよ」

「その反応、絶対聞いてなかったでしょ~」

「ごめんんごめん。それで、何の話だったっけ?」


私が軽く謝ると、凛大も機嫌が直ったらしく仕切り直しという感じでまた話し始めた。


「林間学校のグループ分けの話!」

「……林間学校? それって高一が行くものでしょ」

「もーゆいったら~。朝のホームルームでせんせーが言ってたでしょ。俺ら去年コロナのせいで行けなかったから、特別に今年行けることになったって!」


凛大の言葉に、私は目をまん丸くさせた。


何それ、今初めて知った……。先生が言ってたって?

朝のホームルームで?

……っはぁ~、私、どれだけぼーっとしてたのよ。


「そ、そうだったんだ……」

「ねねっ、その会話私も交ぜてっ!」


ため息を吐くように呟いた私の声と、元気な杏月の声がかぶった。

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