ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「あ、杏月」
どこからか椅子を引っ張ってきて私の近くに座った杏月はわくわくした感じで私と凛大を見た。
「凛大くんはゆいが誰と一緒のグループになるのか気になって仕方ないんだよね~♡」
「あ、あんずっち! そ、そんなことないもんね~」
凛大は分かりやすく目を泳がせた。
ほんと、凛大は嘘が下手だなあ……。
「凛大は誰と組むの?」
「へっ?」
私がそんな質問をするとは思っていなかったのか、凛大は素っ頓狂な声を上げた。
大きくて綺麗な目が私を見つめている。
「え、えーと、俺はまだ決まってなくて」
「へえ、そうなんだ。でも凛大のことだから、もう誘いでいっぱいなんじゃない?」
「それがそんなこともなくて、」
「嘘つけぇーい! 私、凛大くんが女子からの誘い何度も断ってたの知ってるぞ」
急に大声を上げたと思ったら、凛大の吐いた嘘を公にした杏月。
目の前に座る凛大は「だからあんずっち~! 茶々を挟まないでよぉー」と本気で懇願している。
そんなこんなでわちゃわちゃしていると、A組の担任である吉峯先生が教室に入ってきた。
始業開始のチャイムまで一分前のところで、みんなは各々自分の席に着いていく。
杏月と凛大も自分の席に戻って行った。