ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


「えー、この時間は朝も話した通り来月行われる林間学校のグループ分けをします」


覇気のない声でそう言った吉峯先生。

その瞬間、わっと湧き上がる教室内。


「はい静かにー。このグループ分けはA組とB組合同です。この時間で男女二人ずつのグループを作ってください」


B組と合同……か。まあ、うちの高校は生徒数多いから当然か。


「せんせー、もう席立っていいですか?」


そう言ったのは、クラスの中心的人物である凛大。

そんな凛大に、クラスの女子たちの視線が集まる。

きっとみんな、凛大と同じグループになることを狙っているんだろう。


「いいですよー。その代わり、他のクラスは授業してるから声を落としてくださいね」

「はーい!」


凛大は素直にそう言って、席から立ち上がった。

そうしてどこに行くのかと思いきや、迷うことなく私の方へ近づいてきた凛大。


「やっほーゆい。俺、ゆいと同じグループがいい!」


素直。

小さい時から凛大を見てきたから分かるけど、こいつはほんっとうに素直すぎる。


「無理」

「えー! なんでっ」

「二宮、静かに!」


大きな声を出した凛大に、先生がすかさず注意する。


「……理由、聞かないと分かんない? これまでのこと思い返してみなよ」


私はため息交じりにそう言った。

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