君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
 今着ているものも柔らかそうな素材のもので、彼女の華奢な身体を優美に包みつつも、身体のラインをなめらかに際立たせている。
 そこに緩く結った髪を肩に流している様が、どこか艶っぽい。

 思わず、リビングの柔らかな灯りに照らされたそのうなじと、涼しげに開いた胸元に目が行く――。

 目を逸らすように自室に行き、私服に着替えて戻ると、美良が訊いてきた。

「お風呂湧いていますよ。それとも夕食にしますか?」

 夕食?
 ダイニングテーブルを見やると、ラップに包まれた皿があった。

 今夜も作ってくれたのか……。

 じり、と鈍い痛みが胸を刺す。
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