君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「なにかをしてあげて相手が喜ぶ顔を見ると嬉しくなりませんか? 心がほっと温かくなったり、うれしくて胸が弾んだりしませんか。私はそれだけでいいんです。あえて言うなら、それが見返りです」
「……」
「私は聡一朗さんにとても恩義を感じています。だから、聡一朗さんに喜んでもらえたら、十分幸せなんです」

 そうにっこりと笑う彼女だったが、はっと顔を真っ赤にさせて急にしどろもどろになった。

「あっ、でも、私の作ったご飯が聡一朗さんのお口に合わなければ、かえって迷惑になってしまいますよね。もしかして、私の料理って美味しくないですか? だから食事はいらないだなん――」
「いやそんなことはない」

 俺は思わずかぶりを振っていた。

「君の作る料理はとても美味しいよ。今朝のベーグルも、とても美味しかった……」
「わぁ、食べてくださったんですね」

 彼女の顔がぱっと愛らしく輝いた。
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