君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
※
それから数日経った。
今夜は遅くに帰宅した。
特別、用事があったわけではない。早めに帰れたが、美良と二人きりになりたくなかった。
結局、食事についての連絡はきちんとするようにした。
彼女は食事を余計に作るくらいで怒る女性ではないのだ。
美良に嫌われることが難しいなら、もういっそ接点を少なくしていくしかなかった。
リビングからは灯りが漏れていた。
まだ起きているのか、と扉を開けると、美良はソファで眠っていた。
背もたれに身体を預けたままで、膝にはテキストが乗り、力尽きたように投げ出された手からはペンが零れている。
起こしてきちんとベッドに眠らせようとかと迷っていると、ふとパンのいい香りがすることに気付いた。
ダイニングテーブルを見やると、バスケットにベーグルが入っていて、そばにメモがあった。
『レンジでチンすれば美味しいですよ。これも自信作!』
メモを置いたものの、直接俺に伝えたいと思って待っていたのだろう。
胸が痛む。
罪悪感と、たまらなく愛おしいと思う、甘い疼き――。
それから数日経った。
今夜は遅くに帰宅した。
特別、用事があったわけではない。早めに帰れたが、美良と二人きりになりたくなかった。
結局、食事についての連絡はきちんとするようにした。
彼女は食事を余計に作るくらいで怒る女性ではないのだ。
美良に嫌われることが難しいなら、もういっそ接点を少なくしていくしかなかった。
リビングからは灯りが漏れていた。
まだ起きているのか、と扉を開けると、美良はソファで眠っていた。
背もたれに身体を預けたままで、膝にはテキストが乗り、力尽きたように投げ出された手からはペンが零れている。
起こしてきちんとベッドに眠らせようとかと迷っていると、ふとパンのいい香りがすることに気付いた。
ダイニングテーブルを見やると、バスケットにベーグルが入っていて、そばにメモがあった。
『レンジでチンすれば美味しいですよ。これも自信作!』
メモを置いたものの、直接俺に伝えたいと思って待っていたのだろう。
胸が痛む。
罪悪感と、たまらなく愛おしいと思う、甘い疼き――。