君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「寝ていないとだめじゃないか……!」

 つい声を荒げてその背中に腕を回してしまった。
 驚いている美良を見て、しまったと思ったが遅い。
 こうでもしなければ、今にも倒れそうで心許なかったのだから。

「あ、あの、今夜はお帰りが早いんですね……?」

 どこか舌足らずの声に怪訝そうな色をにじませて、美良が訊いてきた。

「予定はちょうどキャンセルになったんだ。そこに君が倒れたと山本さんが連絡をくれてね。君を心配してのことなんだ、彼女を責めないでやって欲しい」
「そう、だったんですか……あっ! あの……!」

 俺は美良を横抱きに抱え上げた。

「いいから。身体を休めるんだ」
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