君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「なら適当なものを持ってくる。まずは水分をちゃんと取らないとだめだ。薬は飲んだのか?」
「いえ、まだ……」
「市販のものでもいいから解熱剤を飲んだ方がいい。熱が高すぎる。その前に一度なにか胃に入れたほうがいいな……」
と踵を返した俺の袖を、美良が弱々しい手でつかんだ。
「大丈夫です聡一朗さん。それくらい自分でできますから。それより、お仕事とかがあったら、そちらを優先――」
「君以外に優先するものなんてない」
つい声を荒げてしまった自分にはっとなる。
彼女は顔を強張らせて目を伏せてしまった。
俺はなにをしている……まずは自分が落ち着かなければ。
「いえ、まだ……」
「市販のものでもいいから解熱剤を飲んだ方がいい。熱が高すぎる。その前に一度なにか胃に入れたほうがいいな……」
と踵を返した俺の袖を、美良が弱々しい手でつかんだ。
「大丈夫です聡一朗さん。それくらい自分でできますから。それより、お仕事とかがあったら、そちらを優先――」
「君以外に優先するものなんてない」
つい声を荒げてしまった自分にはっとなる。
彼女は顔を強張らせて目を伏せてしまった。
俺はなにをしている……まずは自分が落ち着かなければ。