君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
4,陶酔の一夜と、明かされた真相

1



 やわらかな朝日で目が覚めた。

 なんだか、ひどく穏やかで優しい朝だった。

 こんな気持ちで目が覚めたのはいつぶりだろう。
 きっと、両親がまだ生きていた頃以来だ。

 ゆっくりと起き上がると、額からぽとりと白い物が落ちた。
 熱救急用の冷却シートだ。

 記憶が一気に甦った。
 昨日は熱が出て大学を途中で帰って、そして――。
 ベッドの横のソファに、人の気配を感じた。

 聡一朗さんが眠っていた。

 帰った時のベスト姿のまま。
 ジャケットを上半身にブランケット代わりに掛けていたようだけれども、今は膝の上で皺になっている。

 帰るなり私の看病をしてくれた聡一朗さん。
 私が寝入った後も、ずっとそばにいてくれたんだ……。
< 131 / 243 >

この作品をシェア

pagetop