君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「ん……」

 聡一朗さんが身じろいだ。

 うっすらと瞼が開いた。
 そうして、ゆっくりと瞬きすると、私を見つめた。

「起きてたのか?」

 低い掠れた声で言うと、私の手を握っていた手を動かし、頬を撫でてくれる。

「おはようございます」

 そっと返して私は微笑んだ。

「二日酔いか?」

 からかうように聡一朗さんが訊いた。
 私は照れるように苦笑いをした。

「はい、頭が重いです」

 衣擦れの音がして、聡一朗さんの長い腕が私を優しく包んだ。
 ラインを楽しむように、背中から腰をそっと撫でる。

 掻痒感とともに、昨晩の記憶がまた甦る。
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