君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜



 それから、聡一朗さんは大学へ行った。

 私は二日酔いが治まる兆候が無かったので、大学を休むことにした。

 もとより授賞式があるため午前中の講義しか出ないつもりだったので、大きな差し障りにはならなかった。

 授賞式は午後から始まる。
 昨晩のパーティと違ってスーツを着ればいいだけなので、準備に時間をかける必要がないのが幸いだった。

 二日酔いは、さきほど飲んだ薬が効いてきたようで、朝よりかはだいぶ調子が良くなってきていた。

 コーヒーを飲むといいと聡一朗さんに言われたので、朝食の後、二杯目を飲みながらぼうとリビングに座っていた。

 快晴の日差しが降り注ぐ部屋は、なぜだかいつも以上に広々としていて寂しく感じる。

『俺に君を愛する資格はないんだ』

 その言葉と意味を、ずっと考えていた。

 そして、聡一朗さんの背中に宿る、深い悲しみを帯びた孤独のことも。
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