君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
5,開け放たれたすべて
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腕時計を見た。
式開始まで、あと十分を切っていた。
しかし、美良がまだ来ていない。
『ごめんなさい、少し遅れます』
彼女がそうラインをくれたのは約一時間前。
もう着いていてもおかしくない頃だ。
昨晩の二日酔いが残っているとはいえ、真面目な彼女が遅れてくるというのが意外だった。
加えて、ラインに続けざまに入っていた「式の後に話がある」というメッセージが気掛かりだった。
美良はいったいどうしてしまったのだろう……。