君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
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その後は、大変だった。
授賞式を遅らせてしまったことを関係各所にお詫びするのに一、二時間かかり、私と聡一朗さんがやっと一息ついたのは陽が沈んだ頃。
くたくたになったけれども、「これも心を通い合わせた後の初めての共同作業だな」なんて聡一朗さんが冗談めかして言うものだから、つい笑ってしまった。
お腹がぺこぺこになったので、その後は二人でお祝いのディナーに行って、夜遅くに帰ってきた。
一息つくなり、聡一朗さんが訊いてきた。
「そういえば、話したいことがあると言っていたけれど、なんだったんだい」
疲れた今でも聡一朗さんが覚えていてくれたことが嬉しかった。
できれば、帰宅したらすぐにお話したいと思っていたから。