君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「聡一朗さん」

 私はその頬を包んだ。
 聡一朗さんが私にしてくれるみたいに、やさしく、守るように。

「泣いてもいいんですよ。お姉さんのために、泣いてもいいんです」
「……」
「私が代わりに泣く必要なんてないんです。お姉さんはずっとずっと最期まで聡一朗さんを愛していた。だから聡一朗さんは泣いていいんです。自分のために泣いて、たくさん泣いて、そして、笑ってください」

 ぎゅうと抱き締められた。

 折れんばかりに私を求める聡一朗さんの呼吸は荒く乱れていた。

 涙を流していた。

「……そうか、ならもう誰かを愛しても許されるんだな」
「はい……」
「君を心の底から愛してもいいんだな」

 泣き濡れた顔で、聡一朗さんは私を見つめた。
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