君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
彼女に良かれと思ってしている配慮のはずなのに、逆に彼女を傷付けてしまっているのではないか。
出掛ける準備をしながら、そんな不安を考える。
君を援助するなどという体のいい言葉でたぶらかして、若い彼女の人生を縛り付けてしまったのではないか、と日が経つにつれて、そんな罪悪感ばかりが深まる。
「あ、聡一朗さん、ちょっと待っていただいていいですか?」
準備を終えて玄関に向かおうとすると、彼女が足早にキッチンからやってきた。
そして、手にしていた紙袋を俺に差し出した。
ふわり、といい香りがした。
「パン、作ったんです。これなら持ち運びできるだろうし、軽食としてなにかのつまみでも、と思って」
思わず受け取ると、まだ少し熱いくらいなのが伝わってくる。
出掛ける準備をしながら、そんな不安を考える。
君を援助するなどという体のいい言葉でたぶらかして、若い彼女の人生を縛り付けてしまったのではないか、と日が経つにつれて、そんな罪悪感ばかりが深まる。
「あ、聡一朗さん、ちょっと待っていただいていいですか?」
準備を終えて玄関に向かおうとすると、彼女が足早にキッチンからやってきた。
そして、手にしていた紙袋を俺に差し出した。
ふわり、といい香りがした。
「パン、作ったんです。これなら持ち運びできるだろうし、軽食としてなにかのつまみでも、と思って」
思わず受け取ると、まだ少し熱いくらいなのが伝わってくる。