【短編】かわいく、ワルく、甘く愛して。
 でも、今の状態って何なんだろう?

 両思いってことではあるんだろうけど、お互いに好きだって告白したわけでもないし……。


 何より、私は違反ヴァンパイアを捕まえにこの学校に転校してきたんだ。

 色恋ばかりに気を取られてる場合じゃない。

 他にもヴァンパイアはいるっていう累さんの言葉を信じて他の生徒会メンバーにも探りを入れてみているけれど、人間とヴァンパイアの判別はなかなかつけられない。


 ここはやっぱり累さんに協力を頼んだほうがいいのかな?

 初めは拒絶してたから断ったけれど、今は累さんを受け入れてる。

 血を吸われるのはちょっと怖いけれど、嫌って程でもない。

 血を吸ってもいいから協力してって、言ってみようかな?

 そうして違反者を捕まえられたら、ちゃんと好きだって伝えてみよう。


 好きだって言ったら可愛い笑顔を見せてくれるのかな?

 それともワルい顔でニヤリって笑うのかな?

 ……どっちにしても、喜んではくれるよね?

 その瞬間を思うと何だかこそばゆい気分になる。

 トクトクと優しく脈打つ鼓動を感じながら、とりあえず協力をしてもらえるように頼んでみようって思った。


 そんな風に考えたすぐ後。

 会計の裕くんに心配そうに声をかけられたんだ。
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