【短編】かわいく、ワルく、甘く愛して。
 うん、やっぱりなんかチャラい。

 言動がっていうより、雰囲気が。


「で? どうしたの? 私は他の子みたいに裕くんにはなびかないよ。好みじゃないから」

「ズバッと言うなぁ……ま、那智さんの好みって累さんだもんな」

「んなっ⁉」


 いつもみたいにクールぶって澄ましていたら、どストレートに打ち返された。


「あ、やっぱ隠してるつもりだったんだ? 少なくとも生徒会のメンバーはみんな那智さんの好みって累さんなんだろうなって話してたぜ?」

「なっなっなっ⁉」


 どうしてバレてるの⁉


 思わず声も出せずに慌てる私。

 でも、裕くんはそんな私をからかうわけでもなく真剣な目をした。


「でも、大丈夫か? 累さんと二人きりになってることよくあるけど……何かされてるんじゃないのか?」

「え⁉」


 流石に何をしているのかは見られていないみたいだったけれど、事実キスをされているから否定は出来ない。

 でもそんな私の反応を見ても裕くんはからかうどころか心配の表情。


「累さんさ、前にも女子生徒とよく二人きりになってたんだ。しかも、結構とっかえひっかえ」

「え……」

「今は那智さんとしか一緒にいないみたいだから他の女子といるの見ないけどさ……その、遊ばれてないかとかちょっと心配で」

「……」


 え? 誰が?

 累さんが、女子をとっかえひっかえしてた?


 今聞いた言葉を信じたくなくて、理解するのが遅れる。
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