【短編】かわいく、ワルく、甘く愛して。
 か、可愛すぎ……その笑顔脳内に永久保存したい。


「ああ、やっぱりだ。……“唯一”の血って、マジで美味いんだな」


 表情と同じようなとろける声にドキドキと鼓動が治まらない。

 でも待って、今なんて言った?


「ゆ、“唯一”って言った?」

「ああ、そうだよ。ハンターなら知ってるだろ?」

「……」


 もちろん知っている。

 ハンターである以上、取り締まる対象であるヴァンパイアのことは一通り教わった。


 ヴァンパイアにとっての“唯一”。

 一人のヴァンパイアにつき、世界中でたった一人だけ存在するという血を持つ存在。

 その“唯一”の血は何よりも甘く美味で、少量の血で満足できるんだとか。

 そういった理由からか、ヴァンパイアは“唯一”を心から求める。

 ある意味、運命の相手と言ってもいい存在。


 その、累さんの“唯一”が……私?

 “唯一”なんて滅多に見つけられないって聞いたのに。
< 9 / 30 >

この作品をシェア

pagetop