私とキミと、彼と
そして20分ほど経った頃、走ってこちらに向かって来る彼の姿を見た。
「あ…」
「ごめん、お待たせ。」
「いえ、そんな…」
少しだけ息を切らした彼は、駆け寄って来るなりすぐに私の前にしゃがみ込んだ。
そして手にかけていた紙袋の中から何かを取り出すと、私の足元にそっと並べた。
白いレザーのハイヒールに、可愛らしいリボンがあしらわれたパンプスだった。
「え…これ…。」
「できるだけ似てるヤツ選んだ…つもり。
…ほら、足貸して。」
彼は少し恥ずかしそうにそう言うと、私の左足を取りそのパンプスを履かせた。
まるで王子様がシンデレラにガラスの靴を履かせるような…おとぎ話みたいなワンシーン。
慣れない手つきで靴を履かせる彼が本物の王子様に見えただなんて…
…そんなこと、恥ずかしくて言えないけど。