私とキミと、彼と
「…見た目によらず頑固だな。」
「そうですよ。私は頑固なんです。
お金受けとってくれなきゃ、この鍵返しませんよ?」
先程預かったバイクの鍵をチラつかせると、彼は困ったように笑った。
どちらも譲らない均衡状態。
先に折れてくれたのは彼の方だった。
「よし、わかった。
じゃあさ…お金の代わりに、俺のお願い一つだけ聞いてよ。」
「…お願い…?何ですか?」
初対面の私にお願いだなんて…
まぁ、でも…あんなにお世話になったのだからお願いの一つや二つ聞いても……
恐る恐る尋ねる私に、彼はやたらと艶っぽく微笑んだ。
「…女の子にしか頼めないこと。」
「へっ…!?」
「着いてきて。」