私とキミと、彼と
これが私と凌哉くんとの出会いだった。
側溝にハマった所を助けてもらったなんて…何ともシュールな出会い方。
その日から連絡を取り合うようになって、あっという間に意気投合。2人で会う約束もした。
1回目はスポッチャ。2回目は映画館。
そして3回目のデートの帰り際、夕日の見える丘で彼に告白された。
「…千夏ってさ、俺のことどう思ってる?」
「えっ!?…どうって……」
「俺、千夏のこと好きなんだけど…」
彼らしいシンプルな告白。
真っ直ぐにこちらを見つめてそう告げた彼の耳は、夕日のせいか少し赤いようだった。
「私も…好き、です。」
恥ずかしかったけど、私も彼の気持ちに応えるように真っ直ぐ彼を見つめた。
その時の彼の嬉しそうな表情は、きっと一生忘れない。
恋に臆病になっていた私に、もう一度誰かを想う気持ちを教えてくれた人。
ありきたりな言葉だけど…
目の前で笑うこの人を〝大切にしたい〟なんて、思ったんだ。