私とキミと、彼と
「…こんな所、初めて来るだろうし。
…最初は怖いに決まってるよな。」
申し訳なさそうに「ごめん」と謝る彼を見ると、どうやら目的地はここで間違いないらしい。
怖いけど…
凌哉くんが悪意を持ってここに連れて来たわけではないということは分かっている。
何とか受け入れようと、私は恐怖を払拭するように彼と繋ぐ手に力を込めた。
「えっと…
会わせたい人っていうのは、この中に…?」
「うん。ここに俺の仲間がいる。
俺が大切にしてる人のこと、千夏には紹介したかったから。」
私の様子を伺い、遠慮気味にそう告げた凌哉くん。
こんな所にいる〝仲間〟って、一体どんな人?
怖い人たちなんじゃないの?
そんなことを思わなかったと言えば嘘になるけど…
それでも、それほど大切にしている人たちを私に紹介してくれようという気持ちが何よりも嬉しかった。