私とキミと、彼と
「千夏。
こいつらみんな俺の仲間だから。」
「そうだよね。
…えっと、お名前を……」
ここにいる十数名全員の名前を一度に覚える自信なんて、もちろんないけど…
礼儀として彼らの名前を尋ねようと一歩前に出ると、隣にいる彼に腕を引かれた。
「自己紹介はあとでな。
とりあえず先に上に行こう。」
「上…?」
彼が指さす方を見上げると、鉄製の階段を登った先にいくつか扉があるのが見えた。
おそらく、工場の事務室として使われていた部屋があるのだろうか。
「上、今誰がいる?」
「今日はもう3人とも揃ってるよ。」
「あの遅刻魔ももう来てんの?」
「凌哉が彼女を連れてくるって聞いて、張り切ったんじゃねーの?(笑)」
「ははっ、かもな。(笑)」
隣で繰り広げられるそんな会話を、私は大人しく聞いていた。
〝仲間〟と一緒にいる凌哉くんは、いつもより無邪気な笑顔を見せてくれるような…
でも、それでいて少し大人びているような…