私とキミと、彼と
「私、人の名前覚えるの苦手なのに…」
十数人だけなら覚えられると思ったけど…
50人ともなると少し時間がかかりそう…。
しょぼくれる私の頭を優しく撫でて笑う。
「千夏のペースでいいよ。」
「私のペースだと、半年くらいかかっちゃうかもよ?」
「まじかー。
じゃあ、やっぱりもうちょい頑張れ(笑)」
凌哉くんは、普段からよく笑う。
でも、なんだか今日はいつも以上に上機嫌。
もしかして…私がここにいることが嬉しいのかな?
…なんて、自惚れてみたり。
そうこうしている間に、目的地に到着。
階段を上がって一番奥にある鉄製の扉の前で、彼は足を止めた。